アイザック・アシモフ『鋼鉄都市』

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

SFミステリの古典。

ロボット三原則がどうのこうのといったストーリーや、ラッダイト運動を彷彿とさせる人間のロボットに対する反発の描写などは、(六十年前の作品だからあたりまえだが)さすがに古く感じる。

アシモフの作品は初めて読んだのだけれど、保守的な作風でちょっと意外だった。ロボットに福音書の一節を読み聞かせて、法を超えた倫理というものを理解できないロボットについて嘆くシーンなんかも、いささか陳腐だなと感じる。

アンドロイドが登場する物語がこれだけあふれている今となっては、人間とまったく見分けがつかないロボットが不気味だという感覚自体が理解しにくくなっているように思う。