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ダンカン・ワッツ『偶然の科学』

偶然の科学

偶然の科学

世の中は常識通りにはできていない。一見正しいように見えても、きちんとデータを検証してみるとそうではなかったりする。○○は△△であったため□□となったという一般に流布するいくつもの通説を引き、そう思われているが実はそうではないというのを詳細なデータを元にひとつひとつ検証していく。そしてそれらの多くは「△△であったため」ではなく「偶然そうなった」と結論付けられる。とても誠実な本という印象を受けた。

著者はヤフー・リサーチの研究所に所属している方なので、インターネットとビッグデータで統計学革命や~みたいな安易なことを言い出さないか不安だったが杞憂だったし、最終章で社会科学の根本的な意義にまで踏み込んで行く点もよかった(最後のほうは論旨が混乱しているように見えるけど……)。

一つ文句を言っておくと、「シェイクスピアの作品は別にたいしたことないのに大傑作扱いされているのはなぜか」という疑問が提出されるのだが、そりゃシェイクスピアの作品が大傑作だからですよ。たしかに『テンペスト』はいまいちな方だけど、『ハムレット』や『リア王』を書ける人間は人類の歴史の中で二人も三人もいませんから。