ドン・デリーロ『コズモポリス』

コズモポリス (新潮文庫)

コズモポリス (新潮文庫)

現代アメリカの都市生活者の生きることの困難と言おうか、ドン・デリーロの作品はどれもそうだけど、詩的だが抽象的ではなく切れ味が鋭い。その反面、これもドン・デリーロの作品すべてに言えることだが、とてもよくできているけどそれ以上ではないと思う。すごい! 衝撃的! という作品ではない。ダーレン・アロノフスキー監督の映画『π』に雰囲気が近いと思った。

ポール・オースターへ捧ぐ」との献辞は、ニューヨーク三部作を意識しているのだろうか。