伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(11)

この小説は自分にとって距離が近すぎるので、軽々しく何かを言うのはやめておいた方がいい気がしてきた。とりあえず次巻で完結なのでそれをたのしみに待とうと思う。

ひとつだけ。過去に桐乃と京介との関係が冷えきった原因となった事件をふたつに分割したのはごまかしだ。

桐乃が京介に対して不信を持ち、陸上競技をはじめることになったきっかけのエピソードとはなんだったのかと引きを作っておいて、実は不仲になったのと陸上競技をはじめたのは無関係でしたとすり替えるのはおかしい。おかしいけど、とてもうまいごまかしだと思った。

これによって少し時系列がわかりにくくなったが(編集サイドも自覚しているようで、ご丁寧に年表まで挿入されている)、ひとつのエピソードで過去をまとめるよりもストーリーはずっと自然な形になったのではないかと思う。