安部公房『砂の女』

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

安部公房の名前はラテンアメリカ文学関係の文脈でよく引き合いに出されるが、『第四間氷期』しか読んだことがないので、いい機会だと思って他のも読んでみる。
カフカを彷彿とさせずにはいられないストーリーだけど、カフカのようにふわふわと捉え所がない感じではなくて、明確な物語で読者を引っ張っていくスタイルで楽しく読める。
ただ、おもしろいんだけど、いささか古びているような気持ちもするし、これが日本文学の頂点と言われると疑問ではある。
性描写が特に過激なわけではないのにものすごく淫猥な感じがするのはなんだろうなこれは……。