マリオ・バルガス=リョサ『密林の語り部』

密林の語り部 (岩波文庫)

密林の語り部 (岩波文庫)

これはおもしろかった。

ペルーの都市の物語と密林の語り部が語る物語が交互に描かれ、経糸と緯糸が交差し、一枚の絵を描き出す。バルガス=リョサお得意の構成だ。『緑の家』ほど複雑ではなくて読みやすい。 

最後の方の展開は『変身』そのものという感じなのだけれども、序盤に出てくるオウムの名前が「グレゴール・ザムザ」 で、これがカフカ的な物語であることを仄めかしている。うまいと思う。