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マリオ・バルガス=リョサ『緑の家』

緑の家(上) (岩波文庫)

緑の家(上) (岩波文庫)

緑の家(下) (岩波文庫)

緑の家(下) (岩波文庫)

舞台が異なる五つの物語が娼館「緑の家」を軸に目まぐるしく錯綜し、ペルー社会を重層的に描き出す。

これ以上複雑な小説は存在しないのではないかというくらい複雑な小説で、登場人物がめったやたらに多く、文庫本で七百ページを超える大作ということもあるし、これはかなりの難物だろうと思い気合を入れて読み始めたのだけれど、拍子抜けするほど読みやすくてすぐに読み終えてしまう。

しかし、巨大な物語の質量に圧倒はされるものの、じゃあこれがおもしろいかと問われるとうーんと首を傾げてしまう。

これほどの作品を書いてしまうというのは単純にすごいとは思うし、バルガス=リョサが文学史に類を見ないほどのとんでもない力量の持ち主であることは言うまでもない。でも、ガルシア=マルケスの『族長への道』から感じたような、なんというか、衝動みたいなものは感じなかった。でもそれはぼくがちゃんとこの作品を読めていないということなのだろうな……。 『楽園への道』 にはかなり感じ入るところがあったんだけど。十年後くらいにまた読んでみたい。