舞城王太郎『短篇五芒星』

短篇五芒星

短篇五芒星

舞城王太郎の二年ぶりの作品集。芥川賞候補作(落選)。つまらなくはないけれど、物足りない。『短篇五芒星』というタイトルなので作品ごとに何か関連があるのかと思ったけれど、特にない。軽く書き飛ばしたのかなと思ってしまう。
おもしろい作品は芥川賞を取れないなんてことが言われていて、それは言いすぎにしてもこの作品も賞を取るためなのか抑制して書いているような印象を受ける。というか『ディスコ探偵水曜日』より後の作品はどれもなんだか煮え切らない感じがしてしまう。息切れというわけではないだろうけれど。これまでとは別の作風を模索してんのかな。
煙か土か食い物』のような疾走感はもう味わえないんだろうかと思わないでもないし、でもそれならこのまえ文庫で出た『SPEEDBOY!』をもう一回読めばいいだろって話でもある。
もっとも、単行本になっていない作品までは追ってないんでそっちではぶっ飛ばしてるのかもしれない。
どっちにしたって舞城王太郎にはいままでに読んだことのないような新しい小説を期待しているし、それを書ける作家だと思っている。芥川賞なんてさっさと取ってしまって次のステージへ進んでもらいたい。