午前中は台風の影響か気圧の影響か体調が悪かったけれど、午後にはだいぶ持ちなおしてほとんど良くなっている。いろいろなものに興味を取り戻しつつあるし、たぶんもう大丈夫だろうと思う。マンガもいつもどおり読めるようになっている。 

器械『アキタランド・ゴシック』(1)を読む。作者の器械は商業作品ではこれがデビュー作となるけれど、秋田モルグというサークル名で同人活動を長くおこなっていて、創作同人の世界ではかなり著名の作家だ。コミティア参加者ならだれしも……とは言わないにしても、多くのひとが名前を聞いたことがあるだろう。同人ではサディスティックな描写(エログロというほどでもないが)の作品を多く発表していて、ぼくを含めてカルト的なファンが多いのだけれど、この作品ではそういった一般受けしそうにない部分を排除して、ほのぼのとした、しかしやはりこれは秋田モルグとしかいいようのない世界(まさにアキタランドだ)を描きだしている。

ぼくはマンガについてはどんなジャンルであろうとまんべんなく読むが、四コママンガだけはちょっと苦手で、読んでいるとつかれてしまうのだけれど、この作品はギャグマンガなのに起伏が抑えられているので、安心してたのしく読めた。もっとも、四コママンガといっても形式が定型なだけで、物語はほぼリニアになっている。いしいひさいち業田良家などの諸作品の系譜に連なるものというと古い読者にはわかりよいだろうか。

綱島志朗『紫色のクオリア』(1)を読む。うえお久光ライトノベルを原作としたコミカライズ作品だ。ぼくは原作も読んでいて、なんというかとても奇妙な小説で、正直それほど好きではないのだけれど、気になる。ライトノベルのフォーマットでハードSFをやっている。こう言うとぴんとくるひとも居るだろうけど、この作品はアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の元ネタとして名前が上がる事が多い。でもSFなのに量子力学についての解釈がどうにもおかしくて納得が行かないんだ。フィクションなんだからそれはそれとしてたのしめばいいのだけれど……。

紫色のクオリア』は前半と後半でまったく作品のカラーが異なる。出色なのは後半で、あの展開は小説でないと描写しきれないのではないかと思うのだけれど、この一巻ではまだ前半部分までしか描かれていない。今後どうなるか気になっている。