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できれば息抜きにマンガを読みたいのだけれど、気分が憂鬱で暗い本以外は読めない。

こんなときはミステリだと思って、青空文庫小栗虫太郎『黒死館殺人事件』を読む。オタクっぽい小説でいい。そういう点で言えばメルヴィル『白鯨』に似ている。

「威風堂々(マエステヴォルメンテ)」だの「恋愛的欲求(フェルリープト・ザイン・ヴォーレン)」だのといった、大仰な単語や文章に長ったらしいルビが振ってある表現が頻出しておかしい。黒丸尚訳の『ニューロマンサー』みたいだ(もちろん『黒死館』のほうが先だけど)。こういう衒学的(ペダンティック)かつ俗物的(スノビッシュ)な作品は嫌いじゃないので、たのしく読んだ。四大奇書の中でいちばんおもしろいと思う。舞台設定もトリックもなんだそりゃって感じではあるけど、まあ奇書だから。そもそもミステリじゃないからしかたない。おれは清涼院流水『コズミック』『ジョーカー』『カーニバル』を読んでいるから、ちょっとやそっとのことではうろたえないよ。ただ、麻耶雄嵩『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』を先に読んでしまったのは失敗だったかな。

むかしマンガで似たようなものを読んだようなと思ったのだけれど、たぶんあれだ、士郎正宗『仙術超攻殻オリオン』なんかけっこう近くないですか。