2年くらい前に金くれグループにポストしようとして途中まで書いて飽きた本棚の選び方についての文章。いまとぜんぜん文体が違ってうける。

・頑丈
カタログに耐加重○○kgと書いてあっても実際にその重量の本を載せると天版がゆがむことが多い。天版がゆがむと本が入らなくなるうえ本を傷める可能性も高くなるし見た目にも不格好でたいへんよろしくない。
本棚の素材が木製の場合は要注意で、インターネットで評判を集めるなどしてちゃんと下調べをしないと痛い目にあいます。カラーボックスなどは問題外ですが、スチール製でも駄目なものは歪みます。
オフィス用品は頑丈な作りのものが多く狙い目ですが、装飾性を排した無骨な外見のものが多く部屋が地味になりがちなのが難点か。質実剛健という意味ではいいかもしれませんね。
また、頑丈であるということはそれだけ多くの本を収納できるということです。本棚は本を収納するためにあるのだから、本棚を選ぶ際に最も優先されるべき事項がこの頑丈さという点でしょう。

・軽い
本棚が重いと引っ越しや部屋の模様替えを行うにも大変な労力となる。さらに、本棚の重さによって畳やフローリングの床に傷がついたり、最悪の場合は床が抜ける可能性もある。床が抜けると本がだめになってしまうし、マンションの下の階の人が死ぬかもしれない。また、重い本棚は地震が発生した際に倒れて人間が押しつぶされてしまうかもしれない。毎日が死の恐怖と隣り合わせになってしまい、気分がよくありませんね。
昭和の昔には立派で重厚な本棚に読みもしない百科事典や文学全集を飾っている家庭もよくありましたが、時代錯誤でばかばかしいし本棚は軽いほうが便利なので軽いものを選びましょう。

・本を痛めない
長期間本を横向きに置いて積んでいると、本のカバーとカバーが接着して取れなくなってしまうことがあるので、できるだけ縦置きすることが望ましい。スライド書棚は比較的少ないスペースに多くの本を縦置きできて便利なのだけれど、可動部に本が巻き込まれて破れてしまったり押しつぶされてしまったりすることが多いので避けた方がよいと思います。ちゃんと気を付けていれば問題はないのですが、本棚は自分だけが使うものではないので難しい。特にスライド書棚は子供のおもちゃになりやすい。
また、エレクターなどのワイヤーシェルフ。これはインテリアとしては良いですが本と書棚との接点が小さいため本が痛むし、隙間があいているので本の位置を横にずらすというごく基本的な整理方法がやり難い。むりに本を動かすと必ず本に傷がつきます。どうしてもワイヤーシェルフを使いたい場合はアクリル板を貼りつけるなどして対策をとる必要がある。

・取り出しやすい
さらに、ワイヤーシェルフは書棚の前面に段差があるものが多く、本を取り出す際にひっかかってカバーが破れやすい。総合的に考えて、ワイヤーシェルフを本棚として使うべきではない。ただ、照明を当てやすいのでフィギュアなどを飾る用途にはいいかもしれない。
奥行きが広い本棚は前後二列に本を置けるので多くの本を収納できるのがメリットだけれど、当然後列の本は取り出しにくくなってしまう。どこかで読みましたが、ユーザインターフェース研究者の増井俊之先生は本棚を壁と直角に並べているそうです。そうすると、本を前後両方から取り出せるので多くの本を収納できるメリットと本の取り出しやすさを両立させることができる。ただし、その場合は部屋がある程度広くないとだめですが。

・見た目が良い
見た目は悪いよりも良いほうがいいに決まってる。自分の部屋に置くことになる本棚は毎日見ることになるわけだから、本棚を見てひどい気分になるようではまったくだめですね。ただし、インテリアとして美しい本棚は価格が高い場合が多いのである程度の妥協は必要です。どこまで妥協するかは人の感性によって異なるので何とも言えません。

・入手が容易
見落とされがちですが、本棚の入手が容易であるという点は重要です。とりあえず本棚を買ったが本が増えたためもう一つ追加が必要になったというケースは多い。その際、同じ本棚を追加しないと部屋の統一性がとれません。見た目に不統一というだけでなく、使い勝手が異なる本棚が複数あると混乱します。奥行きが異なる本棚を横に並べていると足の小指を打ちつけるリスクが高まり危険です。高さが異なる本棚を横に並べてしまうと、本棚の上に物を置きにくくなってしまうし、掃除もしにくい。
代替パーツを入手しやすいという点にも気をつける必要があります。世界に一つしかない一点物の家具はそれはそれで素晴らしいけれど、パーツが一つだめになってしまえば本棚全てがだめになってしまいます。
つまらないかもしれないけれど、大手メーカーの大量生産品を求めるのが無難でしょう。

以上で良い本棚に求められる主な要件を確認しました。


・ひとによって必要となる本棚は違う
蔵書量
部屋の広さ


・貧乏人はどういった本棚を買うべきなのか
金くれグループの皆さんは貧困にあえぐ低所得者でしょうから、貧乏人はどういった本棚を買うべきなのかを検討する必要がある。
まず、最優先される事項は「頑丈」であるという点でしょう。繰り返しになるけれど、頑丈であるということは本をたくさん収納できるという意味だから本棚の基本的な使い勝手に直結するし、頑丈な本棚は数十年利用できるため費用対効果が高い。丈夫な本棚は比喩でなく一生物です。



「入手が容易」であるという点は、価格が安い商品は必然的に大量生産品である場合が多いので特に優先しなくても問題ないでしょう。
「見た目が良い」という点は機能以外の価値であって価格と密接な関係にあるので最低ラインまで妥協するしか仕方ありません。